2012年08月22日

ベンチャービジネスを理解する

“ベンチャー企業”や“ベンチャーファンド”と聞いて、多くの人はどのようなイメージを持つであろうか?日本では、ベンチャー企業(VB)による不祥事や、ファンド詐欺のイメージが先行し、いまだに社会や経済のメーンストリームに置かれるまでには至っていないように感じる。

■「ベンチャー」に対する日米の認識の格差

 昨今のIT(情報技術)インフラの普及がベンチャーを起業する初期コストを劇的に低下させた結果、日本各地でもインキュベーション(※)ブームが起きている。しかし、“ベンチャー”に対する社会的な認識を変えない限り、大きなムーブメントにはつながらないし、社会へのインパクトも限定的になるであろう。

 翻って米国では、ベンチャーは経済のけん引力、不況の打開策として重用され、大統領も頻繁にシリコンバレーに足を運ぶ。ベンチャーの興隆を奨励することは、今や、経済戦略に不可欠と認識されているからである。

 ベンチャー起業家は、世の中のヒーローであり、その支援をするベンチャーキャピタル(VC)は優秀なMBA(経営学修士)卒だけでなく、エンジニアにとっても憧(あこが)れの職業となっている。

 この日米の違いはどこからくるのであろうか?

■米国ベンチャーの経済と雇用へのインパクト

 ここで所属する全米のベンチャーキャピタル協会の活動や、米国の国家におけるベンチャーの位置付けについて触れたい。



典型的なインキュベーション設備。これはニューヨークのインキュベーションオフィス(筆者撮影)
 全米ベンチャーキャピタル協会では、四半期ごとにベンチャー投資の実態(投資額、新規株式公開=IPO=社数など)を報告するだけでなく、毎年「VCが投資育成した企業の経済効果」というリポートを発表し、政府の大きな支援を受ける根拠を提示している。

 最新のリポートも「Venture Impact 2011」という名前で公開されている。

 このリポートによると、2010年度において、VCが投資育成した企業の雇用者数は、1200万人弱で、全米の民間企業の雇用の11%にあたり、その売上高は3.1兆ドル(米GDP=国内総生産=の10%)に達する。

 世界的に景気が低迷する中でも、雇用やGDPの成長の強力なけん引力になっていることを示している。
posted by tvtoka at 08:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経営